原発事故の闇を裁判で明かす第一歩である。次の審査会が日本の原発の行末を決める。

東電の原発訴訟での検察審査会の「起訴相当」を受けて、マスコミがどんな社説を出すか、調べてみた。

後で紹介するが、東京新聞、朝日新聞、毎日新聞がこの議決を取り上げているが、思った通り読売新聞は意に反した結果が出て、それを批判することはまずいと思ったのか、社説はなかった。普段の論調から、真っ先に不満批判を掲載してもよさそうであるがダンマリを決め込んでいる。もしくは、今一生懸命に反論のロジックを考えているのかもしれない。

後に、各社の社説を載せたが、東京新聞の社説が一番、理路整然とした展開であった。社説では、審査員の議決を理路整然としたものと誉めている。大地震の予想が既にあり、それを土木学会にも諮問した経緯が述べられ、その報告を受けて予見出来たとした。

東北電力の女川原発(宮城)は津波に備えて、三十メートル近くに「壁」を嵩上げしたのに東電はしなかった。東電は〇六年段階でも、津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることなどを議決文に書いている。かなり、綿密な議決文である。単に感情に流されたものでないことがわかる。

これを受けて、東京地検が動くかである。小沢氏の場合は、検察審査会で検事が捜査資料まで捏造して提出し、審査員を騙した。今回の一連の検察の動きをみると、再捜査すると言いながら、また「不起訴処分」とすることは容易に推測出来る。

問題は、それを受けた次の検察審査会の議決である。最終的な裁判の結果は、どうであれ、原発事故の闇を裁判の中で白日の下に出さない限り、事実は明らかにされない。そのためにも、次の検察審査会の審査員が、日本の原発の行く末を決めると言っても過言ではない。


東京新聞:東電「起訴相当」 誠実な再捜査を求める
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014080102000143.html

 東京電力の元会長ら三人を「起訴相当」と検察審査会が議決した。福島第一原発事故は津波対策を怠ったため起きたという明快な結論だ。検察は誠実な再捜査を尽くさないと市民の信頼を失う。
 理路整然とした議決文といえる。市民の検察審査会が重視したのは、政府の地震調査研究推進本部の長期評価である。マグニチュード(M)8クラスの津波地震が「三十年以内に20%程度の確率で発生する」と予測されていた。
 それを基に二〇〇八年の段階で、明治三陸地震をモデルに試算すると、一五・七メートルもの大津波が押し寄せると東電内部で報告されていた。だが、まるで時間稼ぎをするかのように土木学会に検討を委ね、対策を先送りしていた。国側に試算の報告をしたのは東日本大震災の直前だ。
 「大津波が来る」と試算しているのは、明らかに予見可能性があった証拠ではないか-。市民がそう判断したのは当然だろう。しかも自ら試算しながら、東電は何の手も打たずにいた。
 東北電力の女川原発(宮城)は津波に備えて、三十メートル近くに「壁」をかさ上げしたのとは好対照だ。東電が対策を怠ったのはなぜなのか。市民はこう考えた。
 「原発の運転停止のリスクが生じると考えたとうかがわれる」「東電は対策にかかる費用や時間の観点から、津波高の数値をできるだけ下げたいという意向もうかがわれる」-。この推察は、国会事故調査委員会が「シビアアクシデント(過酷事故)対策を経営上のリスクとしてとらえていた」と指摘したこととも響き合う。
 東電は〇六年段階でも、津波によって非常用海水ポンプが機能を失い、炉心損傷に至る危険性があることや、全電源喪失の危険性があることも分かっていた。それを市民は議決文に書き込んだ。
 東電幹部六人のうち、津波の情報に接していても、判断できない立場の二人は「不起訴相当」にし、一人は「対策の決定権がなかった」とし、「不起訴不当」にとどめた。冷静さが感じられる。「起訴相当」としたのは、情報を知りつつ、判断できる立場の幹部に絞り込んだわけだ。
 業務上過失致死傷罪での刑事責任を問うテーマをふたたび検察が負うことになった。東電を強制捜査もせずに、「想定外だから罪は問えない」と一蹴した判断をそのまま維持するのか。被災者らは注視している。「人災」なのか、その真相に肉薄してほしい。


朝日新聞:原発事故原因―究明求める声を聴け
(抜粋)
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p
 3年前の原発事故は何だったのか。私たちは納得いく答えをまだ得ていないではないか。
 そんな国民の不満が反映された議決とみるべきだろう。
 福島第一原発の事故をめぐり検察審査会が、東京電力の元幹部3人について、「起訴相当」とする議決書を公表した。
 いったん不起訴処分とした東京地検は、起訴するかどうか改めて判断することになった。
 刑事責任の追及がどうなるかはさておき、この議決には、事故について徹底究明しようとしない政府と国会、東電に対する社会のいらだちが映し出されているのは確かだろう。
 政府と国会には、事故に関する膨大な情報を集めて、教訓を引き出す権限と能力がある。国民が与えているのである。
 にもかかわらず、政府も国会も、原因究明を求める国民の思いにまったく応えていない。


毎日新聞:検審「起訴相当」 原発の安全神話を指弾
http://mainichi.jp/opinion/news/20140801k0000m070155000c.html
 地震や津波の発生予測に目をつぶった東京電力の姿勢を市民の立場から厳しく非難する内容だ。
 審査会は、不起訴とした検察の判断について疑問を投げかけた。検察は速やかに再捜査に着手し、刑事責任を問う余地が本当にないのか、徹底的に捜査を尽くすべきだ。
 「起訴相当」の議決が出たのは、最高責任者だった勝俣恒久元会長と、原子力担当だった武藤栄、武黒一郎両元副社長の3人だ。
 議決はこう指摘する。
 地震活動の調査や研究、評価に当たる政府の地震調査研究推進本部は2002年、「福島第1原発の沖合を含む日本海溝沿いでマグニチュード8クラスの津波地震が30年以内に20%の確率で発生する」と予測した。予測を踏まえ東電が試算したところ、15・7メートルの津波が発生するとの結果が出た。だから試算を踏まえ東電幹部は対応に当たるべきだった。だが、対策にかかる費用や時間の観点から、東電は予測の採用を避け、土木学会に調査を依頼するなど時間稼ぎをした。3人は責任者として、適切な措置を講じなかった−−。
 業務上過失致死傷容疑で刑事責任を問う場合、事故の予見可能性と結果回避可能性が焦点になる。



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