日本のエネルギー政策は、今の時代に逆行した政府に原因あり

経産省が、2030年の原発電源の比率を20-23%にすることを発表した。それに対して、読売新聞とは対照的に見識の東京新聞が「15年後の電源 まだ原発に頼るか」と社説で述べている。

この主張は、国民の多くが考えていることで、至極真っ当である。ドイツは2023年には原発を全廃し、再生可能エネルギーを30%以上にしようとしている。2030年には40%以上になっているかもしれない。ドイツでここまで再生エネルギーが普及している一番の理由は、発送電分離に起因している。つまり、発電会社と送電会社が再生可能エネルギーの増大を促している。

電気は、別に原発、太陽光、風力、水力の発電方法で、味が変わったり、質が変わるものではない。一般消費者にも、発電の種類は全く関係がない。日本の発送電分離は、2018年-2020年に実現すると閣議決定されている。発送電分離に合わせて、電気料金の規制も撤廃する予定だ。改革の第2段階として2016年4月に実施する「小売全面自由化」により、電力会社も新電力も自由な料金設定で電力を販売することが可能になる。

送電会社は、上記の小売全面自由化により、どこから電気を買ってもよくなり、大手の電力会社に頼らなくても、中小発電会社から安い電力を購入出来る。電気は今は電力会社が主体であるが、ガス会社、鉄鋼会社、再生エネルギー会社が参入して来て、原発のような、廃炉コスト、核廃棄管理コストまで入れれば、途轍もないコストの電気は自ずと淘汰されてくる。

経産省が、原発電源比率を20%にしようとしても、電力小売り自由化が進めば、消費者が送電会社からの電気を選ぶようになる。先にも書いたが、ドイツには4つの送電会社があるが、その中の1つの「50Hz」という会社は、全電力の40%までを再生可能エネルギーに依存しているということである。当然、発電量は天候、気候に左右されるので、毎日、短期・長期の気象データの情報を入手して、電気をやりくりしているという。再生エネルギーということは、自ずと原料コストは掛らないので、国の富みは増える。

日本の電力会社が、全電力中、高々2%程度の太陽光発電による買い取り電力が増えたことにより、送電線の取扱い容量が足りなくなったから買い付けを制限するなどというのは、ドイツの話からすれば信じられない話である。原発再稼働のための方便と考えている。

経産省と言えば、日本の未来の産業振興を図るはずの省なのに、将来の産業を阻害する省となってしまった。それは偏に時代に逆行する政府のせいである。


15年後の電源 まだ原発に頼るのか
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2015050402000112.html

 経済産業省が二〇三〇年に目指す電源の種類別の発電比率案を公表した。再生可能エネルギーは抑え、原発利用を最大限に見込んだ。原発再稼働に頼るのでは、日本の未来は見えない。

 公表された目標は、液化天然ガス(LNG)が27%、石炭が26%、再生可能エネルギーが22~24%、原子力が20~22%などとなっている。省エネと再生可能エネルギーで、二酸化炭素(CO2)の排出を減らすのが狙いだ。この案を基に、先月三十日、温室ガス削減目標が三〇年までに一三年比で26%と決まった。

 発電比率案はその二日前の有識者会合で了承された。再生可能エネルギーの割合が低いとの意見もあったが、事務方が「現実的な数字」と説明しただけで、議論されることはなかった。分厚いパブリックコメントの資料は無視され、坂根正弘委員長の「時間になりました」という言葉で終了。原案は一字一句変わることはなかった。

 「原発は稼働から四十年で廃炉」の原則を守れば、三〇年には発電比率が14~15%まで下がる。ある委員は「時間がたてば新増設の話もできる」と言った。実際には、原発は建設を計画してから運転開始まで長い年月がかかる。新増設は「現実的な話」ではない。20%超の目標は、老朽原発を四十年を超えて稼働させる余地を残すための感が否めない。

 再生可能エネルギーを導入すると電力料金が高くなるので、原発を使うという方針だが、これも疑問だ。計算には実際の原発ではなく、モデルプラントを使った。発電コストは三〇年で「一〇・一円以上」。各電源の中でもっとも安いが、「以上」と付くのは原発だけだ。「青天井ではないのか」と疑問を呈した委員もいたが、上限が示されることはなかった。

 再稼働に際しては、個々の原発の発電コストの公開を求めたい。リスクがゼロではなく、被害は電力会社だけでは負いきれないのだから、当然の要求だと考える。

 福島第一原発事故調査委員会(国会事故調)の黒川清委員長は「事故は『変われなかったこと』で起きた」と指摘した。有識者会合を見ていると、3・11後も政府は変わっていない。

 ただ、希望もある。同案は需要を過大に見込んでいるといわれる。原発の20%超は、需要の下振れと、家庭と職場での省エネで大幅に減らせるかもしれないのだ。国に頼ってもダメ、というのも3・11の教訓だ。



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