経団連が、企業献金の関与廃止と(あまりに露骨な)政策評価の抜本見直し

経団連は、戦後、自民党と共に、お互いにGive&Takeの関係で歩んできた。経団連の歩みは、ある意味、日本の経済発展の歩みで、その役目を否定するものではない。

しかし、自民党が構造疲労してきて、新たに野党が台頭し、細川政権(1993年8月―1994年4月)が出来て、また自民党が復権してから、自民党と経団連の結びつきが露骨になってきたと考えている。

1995年には、当時の豊田彰一会長が自民党へ100億円分の献金を特別措置として業界に要求している。自民党も下野して、金庫蔵が空っぽになったのであろう。

2004年に、同じくトヨタ出身の奥田会長が、各党の政策評価に基づいて献金する枠組みを導入した。従って、経団連が判断して、経団連との政策合致性や取り組みが悪いと、献金額は低くなる。献金が欲しければ、経団連の言うことを聞けと言うことである。

因みに、御手洗会長の下で、直近で自民党が27億円、民主党が1億円の献金となっている。民主党の評価は、自民党の評価の1/27となる。如何に、民主党の政策が経団連と合致していなく、低く見られているかわかる。

経団連も御手洗現会長から米倉弘昌新会長に交替する。新政権が発足しこれを機に、経団連は上記で述べた政策評価による企業献金の仕組み抜本見直しすることを決めたという。民主党が企業献金禁止を政権公約に掲げ、献金自体にも政策をゆがめるなどの批判があった。このため組織として関与するべきでないと判断した。自民党に偏っていた献金への関与を止め、政治的な中立性を保つとした。

上記で述べた、政策評価は、民主党が政権を取った直後の2009年9月に出されたが、それまで項目毎に詳細に評価された評価表は報告されず、総論的で、民主党にも自民党にも配慮した、訳のわからない評価(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/082.html)であった。

しかし、2008年の自民党と民主党の政策評価(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/065.html)は出されている。経団連が、重要と考えている政策10項目について、各政党の政策との合致度と、取り組み具合を評価している。AからEの5段階評価である。以下に両党の比較と評論を示す。

1.経済活力・国際競争力の強化と財政健全化の両立に向けた税・財政改革
自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、B
2011年度に基礎的財政収支を黒字化する方針で、08年度予算では新規国債発行額を4年連続で減額した。緊急総合対策(08年8月)でも黒字化方針を維持。08年通常国会では、歳入関連法案を衆院で再可決し成立させ、揮発油税の暫定税率失効の影響を最小限に止めた。
国際的整合性を踏まえた法人実効税率の引き下げが今後の課題。税体系を抜本的に改革する方針だが、そのタイミングは不明確。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、D
別会計の見直し等の歳出削減によりこれを達成するとし、具体策は不明確。07年参院選で打ち出した15.3兆円の新規支出を伴う諸施策についても、財源は依然として不明確。法人税は、当面、引き下げを実施しない方針。08年通常国会に向けては、揮発油税等の暫定税率廃止の方針を新たに打ち出し、暫定税率を一時失効させた。この結果、国・地方の予算執行に支障が生じた。

2.将来不安を払拭するための社会保障制度の一体的改革と少子化対策自民党の政策合致度、取り組み度合い:B、B
社会保障制度を持続可能なものとする方針。社会保障国民会議で各種年金制度改革の試算結果を公表、基礎年金の税方式化を含む選択肢を提示。後期高齢者医療制度については制度の枠組みを維持した上で改善に着手。
08年通常国会提出の政管健保国庫補助削減分を健保組合に肩代わりさせる法案には医療保険制度の安定的運営を損なう等の問題がある。少子化対策として待機児童ゼロ作戦を展開。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、C
年金制度の一元化、消費税の年金目的税化、税・社会保障共通の番号制度導入等の方針。消費税率は維持する考えで、社会保障の財源は不明確。
政府与党の社会保障国民会議参加の呼びかけに応じず。08年通常国会で後期高齢者医療制度廃止法案を参院に提出し可決。従来の老人保健制度に戻すとの内容で、医療制度の持続可能性に難。

3.民間活力の発揮を促す規制改革・民間開放の実現と経済法制の整備

自民党の政策合致度、取り組み度合い:B、B
能力・実績主義の導入等に向け、08年通常国会で国家公務員制度改革基本法を成立させた。独立行政法人の整理合理化計画を決定し6法人の廃止・民営化等を実現。規制改革については、経済界要望の実現割合が低下傾向で、大きな進展を見せたとは言えず。独禁法改正案を国会提出したが、現行審判制度の廃止は盛り込まず。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:B、C
従来から民間活力を引き出すべく事業活動関連規制を見直すとするが、進捗は不明確。独立行政法人や特別会計などの原則廃止についても具体策は不明確。
08年通常国会では与党との協議に応じ、公務員制度改革基本法を成立させた。
政府提出の独禁法改正案に対し、審判制度の廃止等を盛り込むよう要求、同法案を継続審議とした。

4.日本型成長モデル実現に向けたイノベーションの推進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、A
国際競争力強化に向け、第3期科学技術基本計画に基づき、戦略重点技術への「選択と集中」を推進した。08年通常国会では、宇宙産業の国際競争力強化等に向けた宇宙基本法、産官学の人材交流などを後押しする研究開発力強化法を議員立法で成立させた。
ICTを活用した行政の効率化に向け、「旅費」等のシステム標準化等に着手。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:B、B
科学技術の活用促進に向け、研究開発と規制改革や社会インフラ整備などを並行して推進する方針。ただし、具体策は不明確。08年通常国会では先端技術の開発・利用につながる宇宙基本法などの成立に協力した。

5.持続可能で活力ある経済社会の実現に向けたエネルギー政策と地球環境対策の推進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、A
改定京都議定書目標達成計画において、産業界の自主行動計画を尊重。洞爺湖サミットでは全主要経済国の参加、セクター別アプローチの有用性等、ポスト京都の国際枠組み構築に必要な要素につき合意を実現。08年通常国会では、サマータイムの導入に向けて野党と協議。本格導入を前提としない排出量取引の国内統合市場の試行実施と低炭素化推進の観点からの税制の横断的見直しに着手する方針。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、D
原子力政策は、安全を第一に国民の理解と信頼を得つつ着実に推進する方針。サマータイムの導入に向け与党と協議。08年通常国会では地球温暖化対策基本法案を提出し、実現のための方策やコスト等の分析がないまま、2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減する目標を設定。拡大生産者責任を盛り込んだ資源循環・廃棄物管理法案を策定。

6.公徳心を持ち心豊かで個性ある人材を育成する教育改革の推進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、B
教育施策に関する初の長期計画として、教育振興基本計画を取りまとめ、公教育の質の向上等を掲げた。ただし、検討の過程では財源に関する議論が中心で、教育改革の論議は深まらず。学校や地方に対する予算・人事等の権限委譲など、具体的改革の推進が今後の課題。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:B、B
学校は、保護者、地域住民などと協力し主体的・自律的に運営されるべきとの考え。
学校評価は教育の受け手・保護者等が参画し多角的なものとするよう主張。
08年通常国会に提出した高校無償化法案などには、財源に課題が残る。

7.個人の多様な力を活かす雇用・就労の促進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:C、C
仕事と生活の調和の実現に向け、働き方の改革を推進する方針。この観点から07年2月には、与党間で事務系労働者の働き方に対応する労働時間のあり方を検討することに合意したが、具体的な進展はこれから。雇用保険二事業等については、事業内容を精査し、整理合理化を推進。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:D、D
ワーク・ライフ・バランスについては、労働時間等の規制を強化して、その実現を図る方針。
08年通常国会では、政府提出の労働基準法改正法案に関して、残業代の割増率の引上げを主張、継続審議となった。派遣については契約期間が2ヶ月以下の派遣を一律禁止する法案を策定。企業活動や雇用の実態を十分に踏まえず。

8.道州制の導入の推進と魅力ある経済圏の確立

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A,A
地方分権と活力ある地域経済圏の創出等に向けて道州制の導入を検討。
08年7月の党中間報告では、国・道州・基礎自治体の役割分担や区割りの複数案等を提示した。08年通常国会では、農商工連携の促進と観光庁の設置に関する法案をそれぞれ成立させた。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、C
道州制導入の考えはなく、国と300程度の基礎自治体からなる二層制の行政組織にすべきとの方針。地方への補助金を原則廃止し一括交付金化し6.4兆円のムダを排除するとするが、その具体的内容は不明確。観光立国の推進に向け、観光庁設置に関する法案の成立に協力。07年臨時国会では、被災者生活支援法の成立を実現。


9.グローバル競争の激化に即応した通商・投資・経済協力政策の推進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、B
経済連携協定(EPA)の締結を加速する方針で、インドネシア、ブルネイとの協定の発効を実現した。ASEANとのEPAについては、08年通常国会の会期延長を決定し、国会承認を確保した。同国会では関税定率法を改正し、貿易手続きの簡素化・効率化に向けた優良事業者への特例措置の拡充を実現した。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、D
経済連携協定(EPA)の重要性は認識しているが、08年通常国会では、参院でASEANとのEPAの審議に応じず。
07年臨時国会には、農業者戸別所得補償法案を提出し参院を通過させた(08年通常国会で衆院否決、廃案)。財源と農業競争力強化への効果に疑問。

10.新憲法の制定に向けた環境整備と戦略的な外交・安全保障政策の推進

自民党の政策合致度、取り組み度合い:A、B

米中韓等との関係強化に向けて首脳外交が積極的に展開された。テロ根絶に向け国際的な役割を果たすべく、07年臨時国会で新テロ特措法を衆院再可決で成立(08年1月)させた。
08年通常国会では、在日米軍への「思いやり予算」を衆院優越規定により成立させた。
ただし、憲法改正については国民投票法の成立以降、顕著な進展なし。

民主党の政策合致度、取り組み度合い:C、D
日米同盟を外交・安全保障政策の基軸と位置づけるが、08年通常国会では在日米軍への「思いやり予算」に反対、参院で不承認とした(議案は衆院優越規定により成立)。
また、国際社会と一致団結してテロ根絶に取組むとするが、07年臨時国会では新テロ特措法を参院で否決した(08年1月、同法案は与党の衆院再可決で成立)。



上記を見ると、笑ってしまうぐらい、民主党の評価が低い。悪意さえ感じられる。これでは、民主党政権初の民主党大会に、経団連会長を呼ばなかったのは頷ける。会長もぬけぬけとは行けないであろう。

自民党は、ほほA,Bの評点であるが、民主党はほとんどが、C,Dで滅茶苦茶に低い。この民主党の政策は、今公約にして、正に取り組んでいるものと変わらない。

この評価を単純に信じると、経団連から見れば、現政権の政策はテリブルな状態であろう。逆に言えば、如何に自民党が、経団連の意向通りになりふり構わず、追随していたかわかる。特に、民主党が派遣社員の改善を求めている政策は、D、Dで最も評価が低い。これは、正に経済界の露骨な面を示している。

本ブログで幾度も書いているように、政権が50年も続くと、上記のように政官業が抜き差しならなくなった利権構造、依存体質が出来上がってしまう。

しかし、経済界も、お金で与党を動かして政策を買う体質から、否応なしに変わらなければならいと、腹を決めたようだ。

政府は内需が大事と言っているが、資源を持たない日本は輸入しなければならない。そのため、お金は海外に出て行く。家計と同じように、お金が出て行くだけでは、国も破産する。

従って、外需でお金を稼いでもらって、国にお金を持ってこなければ、日本全体のお金はトータルで回らなくなる。

従って、外需企業が多い経団連との節度ある連携は必要である。経団連も、過去の歴史を背負った御手洗会長からしがらみを切って、米倉弘昌新会長の下で、新たな関係構築を期待したい。それが、日本の幸せとなる。

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